ちぐうはぐう (3/13)

脚本ちょい読み企画とは!!

6月3日より上演予定の脚本前半部分を、
公式ホームページで毎日1ページずつ
【先読み公開】していきます!

本編をより楽しみたい、
先にどんな話か気になる方は
ぜひご覧下さいませ。

6月2日までの13日間、
毎日更新してまいります。

この先ネタバレ注意!


藤一色 第九色公演
『ちぐうはぐう』

作・遠藤遥風
 

登場人物
 
遠澤(男)
松屋(女)


遠澤「25歳の誕生日おめでとう。」

松屋「何考えてるんですか。
私、誕生日祝われるより、台本書いてきてくれた方が、
正直、全然嬉しいです。」

遠澤「……(ラッピングしてるものを取り出す)。」

松屋「聞いてます?」

遠澤「聞いてます。はい。」

松屋「聞いてませんよね。
そうやって、露骨にご機嫌取りやめてくださいよ。
台本書くって大変なことだと思います。
でも、遠澤さんにしか書けないんです。
書けないんだったら、話でも何でも聞くんで。
こんなことされても全然嬉しくないです。
感謝されるほど、私、遠澤さんに何もしてないですし。
なんですかこれ。」

遠澤「ハッピーバースデー。」

松屋「だからいらないって言ってるでしょ。」

遠澤「いらないとは、言ってないと思う(´・ω・`)」

松屋「…ありがとうございます。あと22ですからね。」

遠澤「22。」

松屋「年齢。25歳って書いてあるけど。」

遠澤「そういう設定?」

松屋「はい?」

遠澤「…あ、ううん、大丈夫大丈夫。」

松屋「…帰ったら開けます。」

遠澤「今じゃ駄目。」

松屋「……。」

遠澤「…このとおりだ。(土下座)」

松屋「ちょ、やめてくださいよ。」

遠澤「開けてください。」

松屋「わかりましたから。
(開けると台本が入ってる)台本?」

遠澤「イッツサプライズ。」

松屋「本物ですか。」

遠澤「あ、うん。」

松屋「最後まで書いてあります?」

遠澤「稽古が始まるというのに台本が書き上がってない俺。いないよ。」

松屋「私、サプライズ嫌いなんですよね。」

遠澤「俺も好きではないよ。」

松屋「じゃ、何でやるんですか。」

遠澤「それはこのサプライズ考えた本人に言ってよ。」


続きは
明日5月24日(月)更新!

ちぐうはぐう (2/13)

脚本ちょい読み企画とは!!

6月3日より上演予定の脚本前半部分を、
公式ホームページで毎日1ページずつ
【先読み公開】していきます!

本編をより楽しみたい、
先にどんな話か気になる方は
ぜひご覧下さいませ。

6月2日までの13日間、
毎日更新してまいります。

この先ネタバレ注意!


藤一色 第九色公演
『ちぐうはぐう』

作・遠藤遥風
 

登場人物
 
遠澤(男)
松屋(女)


松屋「途中でいいんで見せてくれますか。」

遠澤「途中、とは。」

松屋「途中です。」

遠澤「それはちょっと、どうだろうね。
例えば、お腹の中の赤ちゃんがまだ育ち切っていないのに取り出すみたいなものでさ。」

松屋「エコー検査とかもあるじゃないですか。見るだけなんで。」

遠澤「…。」

松屋「あと、その例え、あんま使わない方がいいですよ。特に女性には。」

遠澤「うん、そだね。」

松屋「全然書けてないんですか。」


 
遠澤、プレゼント(サプライズ)を取り出す。


 
松屋「遠澤さん。」

遠澤「はいっ。」

松屋「…これ、台本。」

遠澤「出来てます!」

松屋「どこまで。」

遠澤「最後まで書ききってない台本を、台本って、言うのかな。」

松屋「いきってますね。」

遠澤「いきるよ。台本上がったからね。今、全能感に満ち溢れてる。」

松屋「なんだ。もう。やめてくださいよ。騙された。」

遠澤「へへ。」

松屋「ちょっと強く言ってすみません。」

遠澤「ままま。不安になるのもわかる。開いてみ。」

松屋「読んでいいですか。」

遠澤「もちろん。」

松屋「あ、グループラインには。」

遠澤「あー。まずね、松屋に読んでもらいたいなって。」

松屋「私に?…何これ《誕生日、おめでとう》」

遠澤「イッツサプライズ。」

松屋「サプライズ。」

遠澤「日頃の感謝を手紙にしてみました。」

松屋「…台本は。」

遠澤「出来てないね。」

松屋「…。どういうことですか。」


続きは
明日5月23日(日)更新!

ちぐうはぐう (1/13)

脚本ちょい読み企画とは!!

6月3日より上演予定の脚本前半部分を、
公式ホームページで毎日1ページずつ
【先読み公開】していきます!

本編をより楽しみたい、
先にどんな話か気になる方は
ぜひご覧下さいませ。

本日〜6月2日の13日間、
毎日更新してまいります。

この先ネタバレ注意!


藤一色 第九色公演
『ちぐうはぐう』

作・遠藤遥風
 

登場人物
 
遠澤(男)
松屋(女)


場所は、王子スタジオ。マスクをした遠澤が雑巾がけや椅子の消毒をしている。

松屋が入ってくる。松屋はマスクをしていない。

松屋「おはようございます。」

遠澤「おはようございます。」

松屋「雑巾がけもしてるんですか。」

遠澤「あー、うん。ま、最初に来てるし。」

松屋「じゃ、ちょっと先着替えちゃいます。」

遠澤「あ、先に消毒。」

松屋「え。」

遠澤「そこので。」

松屋「あ、はい。」

松屋、消毒し、着替えにトイレに行く。

遠澤、去っていった方を見て、マスクを触り、消毒の続きをする。

松屋が戻ってくる。

遠澤「だいたい終わっちゃった。」

松屋「すみません。」

遠澤「大丈夫大丈夫。」

松屋「あー遠澤さん。台本って、どんな感じですか。」

遠澤「…脚本家の定義ってなんだろうね。」

松屋「定義ですか。」

遠澤「どれくらいの頻度で書けば脚本家なんだろうね。
一年に一本、半年に一本、一か月に一本、一週間に一本、それとも十年で一本、一生に一本。
もしくは、収入の全てが脚本のみにならなければ、脚本家と名乗ってはいけない、とかね。それも一理ある。
でもね、そんな、些細なことではない。自分が脚本家を名乗るか、どうか。じゃない?」

松屋「書けてないんですか。」

遠澤「…そういう話とちょっと違うんだよな。」


続きは
明日5月22日(土)更新!