ちぐうはぐう (11/13)

脚本ちょい読み企画とは!!

6月3日より上演予定の脚本前半部分を、
公式ホームページで毎日1ページずつ
【先読み公開】していきます!

本編をより楽しみたい、
先にどんな話か気になる方は
ぜひご覧下さいませ。

6月2日までの13日間、
毎日更新してまいります。

この先ネタバレ注意!


藤一色 第九色公演
『ちぐうはぐう』

作・遠藤遥風
 

登場人物
 
遠澤(男)
松屋(女)


11

松屋「へー。てか十万も配ったんですね。」

遠澤「まぁ、一回だけだけどね。俺は大丈夫だったけど、経済傾くレベルだし。飲食店とかカラオケとかネットカフェ、そういう人が集まるとこが大打撃受けて潰れたり。日常がどんどん崩れてったね。東京にいると特に。」

松屋「人集まるってのはイベントも。」

遠澤「そうだね。演劇も公演中止になったりとか、ね。一人でも感染したら、もう代役とかそういうレベルじゃ無くて中止。お客さんの距離離すから。半分以下の席数にしなくちゃだし、公演打っても、人誘いにくいし。」

松屋「思った以上にやばいですね。」

遠澤「ん。一年前に劇場確保するところもあるしね。中止とか無期限延期とか、いっぱい劇団とか劇場とかなくなったと思う。」

松屋「でもまた王子小劇場で芝居するってことは、落ち着いてはいるんですか。」

遠澤「んーとね。向こうの王子小劇場じゃなくて、ここで芝居するんだ。」

松屋「王子スタジオで。」

遠澤「うん。まぁ人数も減ったし、集客とかいろいろ考えて、ここになった。」

松屋「……思ったよりやばいんですね。」

遠澤「インフルエンザで例えるのがわかりやすいと思う。ただ、かかってても、無症状で自覚がないまま、潜伏して、他の人に感染する。だから実家とかにも帰れないし。」

松屋「…。」

遠澤「お客さん呼ぶのだって、コロナにかかるリスクを考えると観に来られない人も多いし、そりゃ、消毒を徹底的にするとか差し入れとか物販をやめるとか、出演者全員マスクして、とか対策しても、感染する可能性は0には抑えきれないわけだし、劇場でかからなくても、行き帰りでかかる可能性だってあるし。」

松屋「でも、やるんですよね。2021年の遠澤さんは。ここで。」

遠澤「うん。」

松屋「何でやってるんですか。」

遠澤「うん。」

松屋「言い方極端ですけど、あ、コロナって死ぬリスクとかは。」

遠澤「あるよ。年配の方が多いけど、若い人とかも、治っても後遺症がある人もいる。」

松屋「ということは、観に来てもらいたい、けど、感染したら自己責任ですからねってことですよね。」

遠澤「出演者、スタッフの発症が確認されたら、即公演中止にするし、検査だってしてる。」

松屋「でも、当日にかかってるかなんてわからないんですよね。本番前に感染する可能性だって。」

遠澤「うん。」

松屋「何でやってるんですか。やってる場合じゃないと思う人だっているでしょ。」


続きは
明日6月1日(火)更新!