ちぐうはぐう (8/13)

脚本ちょい読み企画とは!!

6月3日より上演予定の脚本前半部分を、
公式ホームページで毎日1ページずつ
【先読み公開】していきます!

本編をより楽しみたい、
先にどんな話か気になる方は
ぜひご覧下さいませ。

6月2日までの13日間、
毎日更新してまいります。

この先ネタバレ注意!


藤一色 第九色公演
『ちぐうはぐう』

作・遠藤遥風
 

登場人物
 
遠澤(男)
松屋(女)


松屋「待ってください。何でですか。」

遠澤「記憶がないんでしょ。それがわからないってことは呼ぶしかないってことだよ。」

松屋「わからないもんはわからないんですから教えてくださいよ。何の記憶ですか。」

遠澤「松屋の記憶。どこまで覚えてるの。」

松屋「どこまでって今までですけど。」

遠澤「令和は。」

松屋「れーわわ。れーわわ?」

遠澤「れーわわ、じゃない。令和。」

松屋「れーわ。」

遠澤「令和、ピンと来ない。令和3年だよ。」

松屋「れーわ三年。」

遠澤「元号。」

松屋「元号、や、今、平成30年ですよ。」

遠澤「んん?」

松屋「何言ってるかは置いておいて、元号が変わるってのは、あんまりネタにしない方がいいですよ。天皇が亡くなるから、元号が変わるんじゃないですか。ちょっと不謹慎ですよ。」

遠澤「そうじゃなくてさ。」

松屋「不謹慎ですよ。」

遠澤「不謹慎じゃないんだよ。ネタじゃないもん。」

松屋「だったら余計たちが悪いですよ。」

遠澤「だって生前退位だもん。」

松屋「んん?」

遠澤「あ、え。ちょっと待って。財布出して。」

松屋「財布。」

遠澤「小銭見せて。」

松屋「小銭。」

 お互い、財布を取り出す。

遠澤「俺は…。これ。」

松屋「令和3年。なんですかこれ。」

遠澤「ピカピカのって気持ちいいから取っておいてるの。」

松屋「子供ですか。」

遠澤「大人でも、ピカピカ手に入れたら嬉しいでしょ。松屋の小銭は、ねぇな。令和。平成28年のはあるけど。」


続きは
明日5月29日(土)更新!